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■中国*甘粛省*合作(ラーツェ)*「ロマン⑤」

事件は朗木寺から夏河へ向かう途中、合作という町の入り口で起きた。

このルートでは、途中しばしば公安の検問所があり、チベット人だけが厳しいチェックを受けていた。
身体検査されカバンの中もすべて調べられていた。

合作の町の入り口近くで、今までに無い大規模軍隊が道路の真ん中に砦を作ってるのが見えた。
どこの国でもそうだが、軍関係のものを写真に撮ったことがバレると面倒なことになる。
分かっていたが、これだけ距離があれば大丈夫だろうと、こっそり1枚だけ写真を撮った。
どう写っているのか、撮った私もわからない。

やはりチベット人だけがバスから降ろされ、厳しくチェックされていた。
しばらくバスは停車していた。

ややもすると大人数のアーミーがバスに乗り込んできて、まっすぐ私に向かって来て言った。
「カメラを出しなさい」
写真を撮ったのがバレたとすぐ分かった。
素直にカメラを出し、撮った写真を見せた。
そこには、バスの通路を隔て座っていた乗客達の姿の間から窓ガラスを通して、砂袋の砦の向こうに緑色の服の軍隊がうっすら写っていた。

消去しろと言っているのが分かったので、急いで消去し、他には軍隊を撮っていないことも見せたら、先頭の一人が「OK」と英語で言ったので、ホットしたのもつかの間。
またしても大人数が乗り込んできて、今度はロマンに降りろと言う。
砦の近くで軍人達に囲まれ、もめているロマンをバスの中から見守った。

ロマンが降ろされ5分くらい経過しただろうか、またまた軍人が私のところへやって来て、ロマンの荷物もすべて持って、私も降りろと言う。
その時私はカメラを取り上げられた。

すべての荷物をバスから出し、私達は近くの建物へ連行された。
ロマンはパスポートを取り上げられていた。

建物の部屋に入ってギョッとした。
入り口横には、おそらく拷問椅子であろう鉄製の物体が、無造作に置いてあった。
その椅子は、手首と足首と腰をボルトで止める仕組みになっており、転倒防止のためか4本足の床との接触部分には、同じく鉄製の円盤が付いていた。

私たちは奥にあったパイプ製の簡易ベッドに座らされ、見張りつきで1時間程待たされた。
ロマンはカタコトの中国語が話せるが、初めから一切英語で通していたので、公安はおそらく通訳を探していたのだ。

私と彼の会話は自由だった。
「あの椅子見た?」
と、私が訊くと、彼は、
「BADな映画でああいうの見たことあるよ」
と答えた。

通訳が見つかったのかその後、私達は車で合作の公安本部に運ばれた。
車はフォルクスワーゲン社のものだった。
「僕にこんな仕打ちしといて、車はドイツ製だよ」
ドイツ人のロマンはイヤミっぽく言った。

合作の公安本部で、英語の通訳を通して尋問が始まった。

初め通訳が「ようこそ中国へ、そして我が町合作へ」と言ったが、どう考えても歓迎している待遇ではなかった。
中国に来た目的、今までのルート、なぜ合作に来たのか、これからどこへ行くつもりだったのか、私達はどこでどうして知り合ったのか、など詳しく訊かれた。
ロマンとは黄龍からずっと一緒に観光していたので、彼がその辺のことは、英語下手な私の代わりに話してくれ、私はうなずくだけだったので助かった。

2人とも部屋の中で写真を何枚か撮られ、パスポートは何枚もコピーされた。
コピー機は富士ゼロックス社製だった。

公安いわく
「今、チベットエリアは外国人にとって大変危険で、暴徒があなた達に危害を加える恐れがあります。そんなとき夏河の警官は皆チベット人なので、あなた達を助けることができません。あなた達をこうして助けられるのは私達だけです。だから夏河には行けません。そしてここも危険なので、あなた達は今すぐに蘭州に行かねばなりません。」
ですと。

もうすっかり日は暮れていた。
蘭州までは5時間かかる。
到着は夜中になってしまう。
ロマンが、今晩はこの合作に泊まりたいと願い出たが、無駄だった。

バスターミナルへ連れて行かれる時、
「車はドイツ製、そしてコピー機は日本製だったよ」
と私が言うと、
「僕も気づいたよ」
とロマンも笑った。

蘭州行きのバスに乗せられ、その後バスがチベットエリアを抜けきるまで、ずっとパトカーが私達のバスの後ろを走っていた。

こうして私達は蘭州に強制送還された。

公安は、あくまでも私達を守るために、このような対策をとっている風な感じをアピールしてたが、あれはどう考えても逮捕・拘束・尋問だった。

ロマンも言っていた。
「暴徒が僕達を襲うって?!チベタンは中国当局に抗議しているのに、なぜ僕達を襲わなきゃならないんだ?!」


中国政府はオフィシャルには、チベット自治区以外の四川や甘粛のチベットエリアを、外国人は入境許可証無く自由に観光できる、と謳っており、私達が訪れたのは四川と甘粛だが、実際は政府の言っている通りではないらしい。

通常、「チベット自治区」へ外国人が入るには、中国政府の発行する「チベット自治区入境許可証」が必要だ。
ただしこの許可証は、昨年3月のチベットで起きた暴動以来、貧乏ツーリストには一切発行しなくなった。
(ちなみに莫大な金額を払えば、かなりの厳しい条件付で発行されると言われている。自由行動は一切無い3~4泊ほどのツアーで、10万円以上との噂があるが、どこの旅行代理店で扱っているのかわからない。)

3月はチベット暦の正月だ。
昨年の暴動も3月に起きた。
そして今年は、ダライラマがインドへ亡命して50年目にあたる。
今年の3月にも大規模な抗議が行われる事を、中国政府は予測している。
中国はチベット問題にピリピリしているのだ。

今回はこの程度の事で済んだから良かったものの、世界中いたるところで揉め事は起きている。
それを肝に銘じた出来事だった。

■コメント

■Re:hiromin [リサ]

インドに負けないくらいのロマンチックなマジックに出会いたいよ。
確かに何かに守られている感じがするよ。
これは気のせいじゃないよ。
何かが私を守ってる。不思議だよ。

■Re: 中国*甘粛省*合作(ラーツェ)*「ロマン⑤」 [hiromin]

無事に解放されて何よりだったけど。
でもしかし、中国って嘘もみたいなホントの話が沢山あるね。
バスクリンをいれたのかと思うようなきれいな池や「ロマンとロマンか!?」って読み進めていけば、最後は拷問椅子まで見るとは。。。
なんか インド旅行のインドマジックより もっと半端ない中国事情だよ。
とにかく気をつけて。いつも何かに守られることを忘れずにいてv-218

■Re: kaz [リサ]

色んなことが一気にあったもので・・・

■Re:ギターの大家 [リサ]

これからの撮影ねぇ・・・
しばらくできなくなりました。
2/23の日記見てね。

■Re:マヤ [リサ]

ヤバイことはマジやめた方がいいと思ったよ。
ここは日本じゃないからね。

■Re: 中国*甘粛省*合作(ヘーゾ)*「ロマン⑤」 [kaz]

一気に更新したから
コメントが追いつきませんぜ。

気をつけて旅を続けてくらはい。

■思い出したこと~ [ギターの大家]

ソ連に(ロシアじゃないよ)赴任した特派員が何処に移動するのもが公安が無言でついて来たという思い出話が頭に浮かびました。あくまで慇懃に「何かあったらいけないから…」という大義だったとか。
これからの撮影は、潜入取材よろしく秘密裏にばれないようにね。

■Re: 中国*甘粛省*合作(ヘーゾ)*「ロマン⑤」 [マヤ]

怖い・・怖過ぎるよ・・
無事で何よりだよ。
マジで気を付けておくれよ。
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リサ婆

現在無職。日本在住。
バーのママ歴
中野で4年
歌舞伎町で12年
海外旅行歴
人生の中で延べ約4年
約50ヶ国
春からカレー屋をやるべく、現在奮闘中。

!注意!お願い!
本文中、イスラム教を国教とした国の事を「イスラム国」と書いたのがたくさん出てきますが、それを書いた時点ではまだイスラム国(ダーイッシュ、ISIS)が無かったため、そのような表記になっております。
ですので本文中にある「イスラム国」は、ISISとは関係なく「イスラム教の世界」「イスラム教を国教とする国」というニュアンスでお読みください。

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