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■父の死

自宅で療養していた父が、11月末の雲ひとつ無い清清しく晴れた日の昼に旅立ちました。

前日、前々日と、一晩中眠れず苦しむ父を徹夜で看病した私は、この日はどうも昼寝する気にはなれず、冷え切った父の手足を蒸しタオルで温めたりしていた。
そして、空気が足りないと訴える父に、窓を開けて、新鮮な空気を入れるから大丈夫よと言う事くらいしかできなかった。
私の実家は、他の地域ではめったに無いような強い海風がいつも吹いているような所にあり、窓を開けることはあまり無いのだが、その日は風も雲もなく暖かく、すごく気持ちのいい天気の日だな、と思った。

午前中に来てくれた看護師が普段どおりに父への看護をしてくれた後、私にそっと「間もなくだと思います」と教えてくれた。

「間もなく」って。

前の週に来てくれた看護師も「間もなくです」と教えてくれたので、その時私は「間もなくとは、あと数日という事ですか?」と聞いたのだが、数日かもしれないし数週間かもしれないとの答えをもらったので、この時も、間もなくとはどのくらいのことなのか分かっていなかった。
まさか2時間後の事とは露ほども思わなかった。

父は、この頃には言葉が少なくなっていたが、身振りを交え自分の意思や気持ちを家族に伝えていた。

この日私はどうしてなのかわからないけど、なぜか急に言いたくなり、ありがとうと父に言った。
唐突にありがとうと言った私に父はうなずいた。
父は自分の命が長くないということを私に伝えたので、私は冗談っぽく、外出中の妹が帰ってくるまで待ってねと言うと、うなずいてくれた。

いつものように父が母に身体を起こしてくれと頼み、母が父を抱きかかえると、父はじっと宙を見つめた。
とても純粋な大きな瞳でじっと宙を見つめているので、まさか亡き祖父母が迎えに来てしまったのかと思い、誰か居るの?何か居るの?私も同じ宙を見てしきりにたずねたが、答えは無かった。
同時に父が瞬きをしていないことに母が気づき、呼びかけにも応えず、父がたった今母の腕の中で亡くなったことを悟った。

人は、昏睡状態になってから死ぬものとばかり思っていた。
そう信じていた私にとって父の死は突然だった。
父の死はショックだが、人が突然に穏やかに死ぬのを初めて体験し、私は感動した。

父は生前、延命はしないで欲しい、通夜も葬式もやらなくていい、自分の遺体は献体に提供する、など家族に話していた。
家族は父の意思どおりに、家族だけで父の遺体と一晩過ごし、翌日遺体を献体する大学に預けた。

父の病気発覚からわずか2ヶ月半、ガン・在宅看護・献体、など、私の知識にまったく無かった事ばかりだったが、父のお蔭でそれらを知ることができ、そして、在宅看護と献体に関しては、想像をはるかに超えて頼もしく、私の家族にとっては素晴らしいものだった。

この2ヶ月の体験は、私の人生にきっと影響をもたらすことだろう。

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リサ婆

カレー屋歴3ヶ月
バーのママ歴
中野で4年
歌舞伎町で11年
海外旅行歴
人生の中で延べ約4年
約50ヶ国
春から間借りでカレー屋を始めましたが、7月31日閉店しました。

!注意!お願い!
本文中、イスラム教を国教とした国の事を「イスラム国」と書いたのがたくさん出てきますが、それを書いた時点ではまだイスラム国(ダーイッシュ、ISIS)が無かったため、そのような表記になっております。
ですので本文中にある「イスラム国」は、ISISとは関係なく「イスラム教の世界」「イスラム教を国教とする国」というニュアンスでお読みください。

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